聖書植物の復元(12)
長住教会(福岡)
小林 洋一(こばやし・よういち)
レバノンスギは残るとして…
現代のレバノン国旗のデザイン(シンボル)にもなっているレバノンスギは、その到達樹高が30m、そしてその樹齢は3000年と言われ、聖書では、力、高さ、栄光、富を象徴する樹木です。
創世記6章14節のノアの箱舟(はこぶね)の建材である「ゴフェルの木」(聖書ではここのみに現れる)は、正体不明の木ですが、レバノンスギまたはイトスギの別名とも言われます。口語訳は「いとすぎの木」と訳しています。箱舟そのものが神秘に満ちているので、その建材も神秘に満ちて確定できない。聖書はあえてそうしている。そんなふうに考えてもよいのかもしれません。
「 あなたは僕を送り、主を罵った。/『私(この「私」は強意)は多くの戦車を率い/山々の高みにまで登り/レバノンの奥深くへ分け入り/最も高く伸びたレバノン杉と/最も見事な糸杉を切り倒し/その最果てにある高み、深き森に達した。」(イザ37:24//王下19:23)
最大の環境破壊は戦争であることを暗示するような章句ですが、前8世紀の預言者イザヤは、「最も高く伸びた」レバノンスギ、また「最も見事な」イトスギ、まさに「神木」のような木々を切り倒して、神域ともいうべき「最果てにある高み、深き森に達した」と大言壮語して、その軍事力を誇り、傲慢に振る舞うアッシリア王センナケリブを「主を罵(ののし)った」と批判します。
さて、キャンパスに植えたレバノン杉は3000年後まで残るとして、果たして3000年後の西南学院は?(ウーン…?)
西南学院創立100周年(2016年)記念植樹のレバノンスギ