今月のことば

今月のことば 2023年8月号

名もない私が思うこと

女性連合会計 廣島 規子
(ひろしま・のりこ/浦和教会)

 

先の戦争の記憶がどんどん薄れていく中、巻頭言に何を書こうと考えていた折に『マルモイ ことばあつめ』という韓国映画と出会いました。
第二次世界大戦時、朝鮮半島に進行した日本軍は朝鮮人を支配しようと朝鮮名と朝鮮語を禁じ、日本名と日本語を強要しました。そのような中で朝鮮語の辞書を作ろうとした人たちがいました。民族の根本ともいえる朝鮮語を守り後世に残すことが、彼らにとっての独立運動だったのです。日本軍に目を付けられた「マルモイ」の地味で膨大な作業は、捕まった者は獄死するというとても危険なものでした。それでも全体的に心温まる映画でした。

映画を見て改めて思うのは、犯した罪の大きさを嘆くことばかりではなく、今を生きる私たちが出会った隣人のいのちと文化を尊重し、お互いの理解を深めていくことが一番大切であることです。宣教師のような直接的な働きでなくても、出会いを通して主を証ししていくことこそが、イエスさまから教えていただいた、名もない私たちの働きと言えるのではないでしょうか。

王は支配下のすべての州に勅書を送ったが、それは州ごとにその州の文字で、また、民族ごとにその民族の言語で書かれていた。すべての男子が自分の家の主人となり、自分の母国語で話せるようにとの計らいからであった」(エステル記1章22節)

※ 韓国語で、マルは「言葉」、モイは「集めること」を意味します。 『マルモイ ことばあつめ』はDVD、Blu-ray、Amazon Primeなどの配信などでご覧いただけます。

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