緑の考古学

緑の考古学  2024年4月号

聖書植物の復元(1)

長住教会(福岡)
小林 洋一(こばやし・よういち)

 

聖書咲くキャンパス(※)

※ 聖書植物園を紹介する『西日本新聞』(夕刊)(2015/6/20) 一面のヘッドライン。

  聖書の舞台となったのは、パレスチナ(現在のイスラエル国とパレスチナ自治区)を中心とする、古代近東および地中海世界です。このパレスチナは、四国または岩手県程度の狭い地域ですが、地形や気候は変化に富み、北方の山岳地帯の高山植物から、南方の乾燥地帯の砂漠植物にいたるまで、2,500種以上の多種多様な植物が生育すると言われています。聖書に登場するのは、そのうちの約100種を超える植物です。

今から約2,000年前の古文書である聖書に登場する植物を、土中ではなく聖書紙上で発掘し、それを現代の植物学に基づき分類、復元する。そして、そのレプリカ(生きた植物)を展示するこの計画は、「緑の考古学」(a green archeology)と言えます。実際、この 「緑の考古学」という言葉は、イスラエル国の聖書植物・動物園「ネオート・ケドミーム」(「太古の草原」)の標語になっているものです。

1999年11月、西南学院大学は大学開学50周年の記念事業として大学同窓会の寄付金をもとに聖書に登場する植物を、「聖書で出会った植物たちとキャンパスで出会う」をモットーに、可能な限りキャンパス内に収集・復元するプロジェクトをスタートさせました。

24年前に12種の植物でスタートした展示物も、現在、約100種を数えるまでになりました。これから1年間、この聖書植物園が収集・復元した植物のいくつかを紹介し、聖書の植物についての学びを深めることができればと願っています。お付き合いください。

 

error: この記事は保護されています