聖書植物の復元(4)
長住教会(福岡)
小林 洋一(こばやし・よういち)
スパイが持ち帰った3尺ブドウ
聖書の7産物の1つであるブドウは、聖書では人間(ノア)による最初の植栽植物となっています。ノアは「正しく、かつ全き人」(創6・9)なのですが、ブドウ酒を飲んで醜態を演じてしまいます。この「全き」(タミーム)は、「高潔、汚れのない、誠実な、まっとうな」などとも訳せます。とにかく聖書では完璧な人は出てきません。イエスが自分と信仰者との関係をブドウを使って説明したことはよく知られています(ヨハネ15:5)。
さて、ネヘレスコルは、2022年に西南学院大学人間科学部福祉学科開設20周年記念樹として寄贈されたブドウです。この植物名は、民数記13章23節に出てくる「谷=ナハル」と「一房=エシュコル」の結合に由来し、意味は「一房の谷」です。
「23彼らはエシュコルの谷 (ナハル)まで行き、一房(エシュコル)のぶどうの付いた枝を切り取り、棒で担いで二人で運んだ。また、ざくろといちじくも取った」(民13:23) (挿入は筆者、以下同じ)
出エジプト後、モーセは約束の地、カナンにスパイ(偵察隊)を送ります。彼らは、その地の豊かさを示す象徴として、巨大なぶどうの房を2人がかかりで運び、荒れ野の宿営地に戻ってきました。このブドウは日本語で「3尺ブドウ」とも言われています(3尺=約90cm)。