緑の考古学

緑の考古学  2024年12月号

聖書植物の復元(9)

長住教会(福岡)
小林 洋一(こばやし・よういち)

 

 

 

トウゴマー神の教材

トウゴマは十二小預言書のヨナ書にだけ出てくる植物です(5回)。
主は言われた。『あなたは自分で労することも育てることもせず、ただ一夜にして生じ、一夜にして滅びたこのとうごまをさえ惜しんでいる。』」 (ヨナ4:10)

預言者ヨナは、神が「主の自己信条」(ヨナ4:2、出34:6-7)に基づいて行動することを嫌い、神から逃亡をはかります。トウゴマは、神によってそのようなヨナを教育する教材として使われています。

植えてみてトウゴマの葉が大きく、ヨナが喜ぶような日陰を作ること、「一夜にして生じ」(ヨナ4:10)とあるように成長が早い植物であることが理解できました。もちろん、一夜にして生じません。これは有名な「白髪三千丈(はくはつさんぜんじょう)」(9キロメートル!)の類(たぐい)で、誇張表現の一種です。

うずらの卵のような斑紋(はんもん)のある暗褐色(あんかっしょく)の種(縦1.5cm×横1cm)からひまし油がつくられ、下剤に利用されたりします。種には猛毒のリシンが含まれています。しばらく前の新聞の投稿欄に第二次世界大戦中に中学生だった男性が空腹を満たすためにトウゴマの種を炒(い)って食べたという記事を読みました。いくら食糧難だったとしても毒のある種を食べるとは! 食べても何もなかったようですので、炒ることで毒が霧散したということなのでしょうか。本当にそうなのか。実験してみたい気持ちはあるのですが、まだ体を張れずにいます。

トウゴマの花と種(写真/花:山崎喜代子、種:清水明)

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