賛美歌さいこう

賛美歌さいこう 2025年8月号

執筆者
江原美歌子
所属教会
相模中央教会 音楽・子どもユース担当主事

第5回 礼拝と賛美歌

江原美歌子(えはら・みかこ)
相模中央教会 音楽・子どもユース担当主事/新生讃美歌推進担当

 

 

 

皆さんの教会の礼拝では、一曲目の賛美に、どのような賛美歌が歌われているでしょうか。礼拝を学ぶ参考テキストには、「神賛美」をあげるものが多く、『新生讃美歌』でも、目次をみると「Ⅰ礼拝」には「神をたたえる」賛美歌が前半に収録されています。また、聖書のイザヤ6章1~8節やヨハネ4章20~24節を基に礼拝の要素や式を整える教会もあるでしょう。礼拝の式順やその中で歌われる賛美歌は、礼拝をどのように捉え、ささげるのかを表すものとなっています。

先日、あるカトリックの方に、ミサの最初に歌われる通常文の「キリエ」(憐れみの賛歌)の位置づけについてお尋ねしたところ、「キリストの食卓のもとに集まった一同が、ことばの典礼で神とキリストのことばを聞く前に、まず『回心の祈り』で自らの弱さや至らなさを振り返り、神と共同体に告白してゆるしを願い、それに続く『キリエ』で、主のいつくしみと憐れみを求める」と教えていただきました。他方、バプテストの礼拝と賛美の学びで印象的だったのは、2005年「新生讃美歌フォーラム」の「新生者が歌う理由(わけ)」(濱野道雄氏)の講演で、新生者は、救われた喜びを携えて礼拝に集まり、歌わずにはいられないから歌うのだ、と語られたことでした。そう捉えるとすると、礼拝の最初の賛美に相応しい賛美歌にはどのようなものが挙げられるでしょうか。また、礼拝のはじめにワーシップソングが歌われる礼拝の冒頭では、詩編100編4節等が参照され、感謝と賛美の歌が歌われています。これらの賛美歌の選び取りのポイントは、礼拝の中で歌われる賛美歌と礼拝のコンテキスト(文脈)の関係について考えさせるものです。


前号では、『新生讃美歌』一、二は「伝道集会用」であり、三、四では、創作賛美歌が多く紹介された特徴をご紹介しました。その後の1989年版では、「礼拝」で使用する賛美歌集として編纂(へんさん)されましたが、版権の問題により曲数が限定され、礼拝歌の数が不十分との声がありました。そこで20003年版では改めて「礼拝歌の充実」に焦点があてられていきました。多くの礼拝で歌う賛美歌が収録され、礼拝歌の数は増えましたが、今度は、曲数が多すぎて、礼拝でどのように選んでよいかわからないと声が寄せられていました。

そこで、前教会音楽専門委員会議ではじめていったのが、「全国礼拝音楽研修会」でした。「礼拝とは何か」を、基調講演、分科会を通して、いろいろな角度から学んでいき、礼拝について、また、礼拝で歌われる賛美歌の中身について学ぶ機会をいただきました。

バプテストは、教派が礼拝式を定めるのではなく、各個教会が礼拝式を整えており、百の教会・伝道所には、百通りの礼拝式があり、礼拝を自分たちが作り上げるためには、学び合いが必要であることを感じています。

礼拝と賛美について、教会、地方連合、神学校等での学ぶ場が用いられ、信徒の礼拝参与が励まされていくことを願っています。

 

 

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