「せかい」と出会う

「せかい」と出会う 2025年8月号

執筆者
佐々木和之
所属
連盟ミッション・ボランティア

希望は若者たちの輪の中に

連盟ミッション・ボランティア 佐々木和之(ささき・かずゆき)

主のみ名を賛美いたします。

皆さま、私と恵、そしてルワンダで共に学び働く仲間や学生たちのために、日頃よりお祈りをありがとうございます。
すでにお伝えしていますように、ルワンダの隣国コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)の東部では、政府軍と武装勢力M23との紛争が続いています。M23はルワンダ系住民により結成され、ルワンダ政府の支援を受けていますが、それに対抗してブルンジも軍を派遣し、情勢は一層複雑化しています。

今年一月、M23が主要都市ゴマを攻撃し、激しい市街戦の末に約7000人が犠牲となりました。ルワンダ・プロテスタント大学(以下、PUR)の卒業生やその家族の多くもゴマに住んでおり、通信の回復後、現地の悲惨な状況が次々に伝えられました。市民はトラウマを抱えながら、腐敗の始まった遺体の埋葬や街の清掃に強制的に動員され、病院は負傷者で溢れ、国際的支援もほとんど届かない状況でした。さらに、学校が再開されると、M23が生徒を戦闘員として連れ去るという報告もありました。

続いてM23は、もう一つの主要都市ブカブにも侵攻し、60000人以上がブルンジへ難民として逃れました。現在もゴマやブカブを含む広大な地域がM23の支配下にあり、銀行は閉鎖されたまま、経済は深刻な混乱に陥っています。

PURでは、ルワンダ人、コンゴ人、コンゴ難民、ブルンジ人など、まさに紛争の当事者である学生たちが、痛みを抱えつつも平和のための対話を重ねています。3月中旬、夜の教室でキャンドルを囲む対話の場に、20名の学生・卒業生が集まりました。キャンドルの光に照らされた若者たちの顔と、その輪の中に灯る光を見ながら、私は強く感じました。もしこの厳しい状況に希望があるとすれば、それは、立場の異なるお互いの言葉に耳を傾け、共感を深めながら、平和のために真剣に語り合うこの若者たちの輪の中にあるのだと。

その場で私は、「蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい」(マタイ10・16c)のみことばを分かち合いました。ルワンダ政府はこの紛争への関与を否定しているため、私たちはこの問題について自由に発言することができません。私たちは「蛇のように賢く」、言葉と行動に細心の注意を払わなければなりません。しかし、そのうえで、「鳩のように素直に」神さまの導きを信じ、平和のために祈り、働くこと。「お互いの命を尊ぶ」「いかなる理由でも暴力で人を傷つけることに反対する」「対話こそが大切だ」といった真実は、恐れず語ってよいのだ、と学生たちに伝えました。

家族からの仕送りが途絶えたゴマとブカブ出身の学生10名に対し、寮費相当の支援(月5万フラン、約5000円)を3月から続けています。女性連合の皆さまからの緊急支援(20万円)により、来月まで支援の継続が可能になりました。心より感謝申し上げます。

10月の女性連合総会で皆さまとお会いできることを願っています。困難な状況が続きます。お祈りください。主にありて(6月2日記)

PUR平和センターが継続しているアフリカ大湖地 域青年平和交流プログラムの一コマ(2024年10月撮影)

5月21日に開催されたPUR卒業式で、平和紛争学科の卒業生たち(ルワンダ人、コンゴ人、ブルンジ人、南スーダン人、ナイジェリア人)と筆者。

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