あかし<主題>

広く世界の状況を知る(あかし) 2025年4月号

執筆者
山中 道子
所属教会
横浜JOY教会(神奈川)

宣教師との思い出

 

 

横浜JOY教会(神奈川)山中 道子(やまなか・みちこ)

 

私が初めて“外国”を意識したのは、子どもの頃、教会で出会った宣教師にアメリカドル紙幣を一枚もらった時でした。今と違って情報量の少なかった時代、初めて見る外国のお金に、何ともいえない憧れと妄想を幼な心に抱いたことを今でもはっきりと覚えています。宣教師にしてみればとくに深い意味はなかったと思いますが(きっとお年玉にどうぞ、みたいな感じだったと思います)、もらった6、7歳の私にしてみると大きな出来事でした。後に、夫に伴いアメリカで暮らした時に、いくつかの教会で子どもたちに日本のことを伝える機会がありましたので、その際にはたくさんの5円玉を持参し、折り紙と共に紹介しプレゼントしました。穴があいているコインは珍しいとのことだったので、少しでも日本のこと、自分の国以外の国のことに思いを馳せて欲しいと祈りつつ…。そうそう、日本が中央にある世界地図も忘れずに持っていきましたし、逆に日本では、日本が右端・極東にある地図を見せると子どもたちは目を見開いていました!

小さい頃には「大人のおじさん、おばさん」にしか見えなかった宣教師も、自分が歳を重ねると共に、同年代の宣教師、そして自分と同じような境遇にある友人が福音を伝えるためにわざわざ自分の国を出て宣教師となる、同じ教会で共に祈る外国人宣教師、同じ教会から遣わされていく宣教師と、どんどん身近に感じるようになってきました。日本バプテスト連盟から遣わされている宣教師、海外から派遣されてくる宣教師、そしてさまざまな機関を通して日本からも日本以外からも世界に遣わされている宣教師がおられ、『世の光』を通して、またそれぞれの方がたからの個人的な祈りの課題をお聞きして祈る恵みを与えられ感謝しています。

昨年、ノーベル文学賞を受賞したハン・ガン氏の『少年が来る』(2016)を読むにあたり、韓国の光州事件を題材とした映画『タクシー運転手 約束は海を超えて』(2018)を観て衝撃を受けました。日本がバブル景気で浮かれていた頃、私が生きている時代にも関わらず、すぐお隣の韓国で起きていたことを全く知らず、関心も持たずにいた自分が恥ずかしくなりました。興味をもっていた韓国ドラマやKポップから知った事件でしたが、“伝えてくれる人がいるから知ることができる”と実感しました。ふと、宣教師の方がたの働きが頭に浮かび、今この時に起こっている出来事に自分はどのくらい敏感であるか、アンテナを張り巡らせているか、そして思いを馳せ祈っているか考えさせられました。私たちは聴く人にも、そして聴いたことを伝える人にもなれるし、ならないといけないなあと感じています。

宣べ伝える人がなければ、どうして聞くことができよう。遣わされないで、どうして宣べ伝えることができよう。『良い知らせを伝える者の足は、なんと美しいことか』」(ローマ10・14c~15)

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