時代の転換点

時代の転換点に立って 2025年10月号

執筆者
加藤 泉
所属教会
大井[東京]

〜これからの女性連合〜
神の同労者として
— 新しいビジョンを共に生きる—

女性連合会長(大井[東京])加藤 泉(かとう・いずみ)

 

わたしたちは神の同労者である」(Ⅰコリント3・9、口語訳)。このみ言葉は、日本バプテスト女性連合だけでなく、世界のバプテスト女性たちが共に立つ標語です。これまで重ねられた歩みにおいても、国や文化を越えて祈りをわかちあう仲間と同じ言葉に根ざして歩むことは、私たちにとって大きな力であり、揺るぎない支えでした。そして今、私たち女性連合は、あらためてこの標語に立ち、新たな歩みを初めていきたいと願っています。

今、世界は不安と混乱のただ中にあります。戦争や暴力、貧困や差別、気候変動による危機が、いのちを脅(おびや)かしています。もっとも弱い立場に置かれるのは、女性や子どもたちです。私たちは、この時代の現実から目を背(そむ)けることはできません。だからこそ「神の同労者」として、どこに向かって歩むのかを明確にし、互いに励まし合いながらみ言葉に立ち、歩みたいのです。

標語に続く、わたしたちの願い(ビジョン)は、「すべてのいのちが尊ばれる世界を目指して、互いに助け合う者としてともに生きる」という願いを中心に据えています。これは、神に創られたすべてのいのちを大切にし、共に支え合う世界を祈り求める、私たちの深い祈りを表すものです。

また、わたしたちの使命(ミッション)として、「イエス・キリストと出会ったわたしたちは、神の愛をわかちあい、すべてのいのちを慈しみ、平和を実現する者となります」と掲かかげました。これは、標語に根ざした私たちの生き方そのものであり、一人ひとりの証のあり方を指し示すものです。


そして、その歩みを具体的に形にするために4つの指針(バリュー)を示しました。

・「世界と出会う」
国や文化を越えてつながり、世界の女性たちと共に祈り、交わりを広げ、神さまの恵みの豊かさをわかちあっていきます。

・「平和の希求」
歴史に刻(きざ)まれた痛みを忘れず、戦争と暴力に抗(あらが)いながら、神の平和を祈り求め続けます。

・「人権と多様性の尊重」
すべての人が神のかたちに創られた存在であることを覚え、互いの尊厳を尊重し合います。

・「未来をはぐくむ」
次の世代とイエスキリストにある喜びをわかちあい、神の創られた環境を守り、いのちを育む歩みを続けます。

これらは、すでに私たちが大切にしてきた働きに息づいています。女性連合総会・信徒大会、機関誌『世の光』、「世界バプテスト祈祷週間」や「全国小羊会キャンプ」「献身者デー」「沖縄(命(ぬち)どぅ宝(たから)の日」の祈り。さらに世界バプテスト連盟女性部(BWAW)やアジアバプテスト女性連合(ABWU)との交わり。これらはすべて「神の同労者」としての具体的な応答であり、希望の証です。

今回の総会において、このビジョン案を示すのは、単に言葉の新しさを求めたのではありません。標語に根ざして、大切な歴史を歩んできた女性たちの働きを知ると共に、次の世代へいのちの希望をつないでいきたいとの祈りからです。標語「神の同労者として」に立つとき、私たちの小さな働きも大きな神のみ業につながっていきます。ここに立ち、共に祈り、神の愛に生かされて歩むとき、私たちのビジョンはただの言葉ではなく、現実を変える力となることを信じます。ともに、この指針を担い、未来へと希望を受け渡していきましょう。

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