緑の考古学

緑の考古学  2024年5月号

聖書植物の復元(2)

長住教会(福岡)
小林 洋一(こばやし・よういち)

 

 

 

植物の創出と聖書の7産物

植物は大きくは神の被造物といえますが、天地創造を語る創世記では、神が大地に命じて創出させたものとして紹介されています(創1:29)。大地は今も神の命令を守り、植物を産出することで、神の創造の業に参与し続けています。また植物は、糧となることで生きもの(人間や動物)に神の祝福と恵みをもたらす存在でもあります(創1:29-30)。天地が創造されたとき、生きものは菜食(ベジタリアン)であることが期待されていました。肉食が許されるようになるのはノアの洪水後のことです(創9:3-4)。菜食は終末におけるメシアがもたらす平和な世界の象徴としてイザヤ書11章6-10節に再び登場します。

さて、その食物についてですが、申命記は聖書の地の豊かさを示すものとして7産物を紹介しています。

小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろの実る地、オリーブ油と蜜の取れる土地である」 (申8:8)

ユダヤ教の伝統では、7番目の「蜜」だけが人間の育てるものではない、との理由で、「蜜」を、人間が育てるナツメヤシの実(デーツ)の糖蜜、と見て、これはナツメヤシのことだと考えています。一理ありますが、もちろん、蜂蜜である可能性は否定できません。

 

なかなか大きくならないナツメヤシ。

※章句引用はとくに断らない限り「協会共同訳」を使用。

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